ゴムの比重ってどれくらい?
~測定方法からゴム種類別の比重まですべて網羅!~
ゴムの比重とは
比重とは標準物質(一般的には水)と比較して、密度がどのくらい違うかという表し方です。
一方密度とは、単位体積(cm3)あたりの質量(g)の事です。体積1cm3に対してどのくらい質量がある物質かを表し、単位はg/cm3となります。
測定方法の種類
水中置換法
液中ひょう量法ともいいます。
固体の試料を液体中に吊り下げた時の浮力を測定し、密度や比重を求めます。
精度が高いですが、粉体や液体を吸収するものの測定は出来ません。
音響法
スピーカーが音を発するときに生じる空間の微小な体積変化を測定する。標準物質と試料の体積差から密度や比重を求めます。
液体を吸収するものの測定が出来ます。
気体置換法
試料室に気体を充填したときの圧力と、膨張室に気体を排出したときの圧力差から試料の体積を求め、密度や比重を求めます。
粉体の測定が出来ます。
測定機器と測定方法の紹介
弊社では、水中置換法という方法で測定を行います。自動比重計 を使用し、簡単に数値を出す事ができます。
試験片の準備
試験片は表面が滑らかで、隙間やゴミの付着が無く、妥当な質量をもつものとします。質量が小さすぎると、測定バラつきの原因となります。また測定でのバラつきがないか確認するため測定物は少なくとも2個以上とします。
ゴム製品そのものの測定も可能ですが、複雑な形状である場合、正確な数値が得られません。
測定機器と準備
弊社では自動比重計を使用しています。
ここからは測定方法について簡単に解説します。
測定準備
試験環境は23℃±2℃の環境で実施します。
エタノールの比重をあらかじめ比重棒で測定し、ビーカーに満たします。
質量を測定できる天秤、及び天秤下のフックから吊下げる測定端子(針もしくはつかみ具)を準備します。
吊下げた測定端子をエタノール中で3度測定し、平均値を測定端子のエタノール中質量の補正値とします。
測定方法
吊下げた測定端子に試験片を取り付け、さらに天秤に吊下げ、空気中の質量を読み取ります。
比重計の測定ボタンを押し、エタノール中の試験片の質量を測定します。
計算式により、自動でエタノール中の比重が算出され、測定用紙にアウトプットされます。
比重計
ゴムの比重一覧表
ゴムの種類や添加する配合剤によって比重は全く異なります。こちらに一例をご紹介します。
種類 | ゴム記号 | 比重 |
---|---|---|
天然ゴム | NR | 1.1~1.3 |
スチレンブタジエンゴム | SBR | 1.1~1.2 |
アクリルゴム | ACM | 1.2~1.4 |
クロロプレンゴム | CR | 1.3~1.6 |
エチレンプロピレンゴム | EPM、EPDM | 0.9~1.2 |
フッ素ゴム | FKM | 1.6~1.8 |
二トリルブタジエンゴム | NBR | 1.1~1.4 |
水素化二トリルブタジエンゴム | H-NBR | 1.1~1.3 |
ブチルゴム | IIR | 1.1~1.3 |
ウレタンゴム | U | 1.3~1.4 |
シリコーンゴム | Q | 1.1~1.4 |
参照:
JIS Z8807 固体の密度及び比重の測定方法
JIS K6268 加硫ゴム-密度測定