ゴムは何故劣化する?
原因や劣化防止の対策方法も解説!
ゴムは何故劣化する?原因や劣化防止の対策方法も解説!
■ゴムの劣化とは?
■ゴムが劣化する原因とは?
紫外線(UV)・オゾン
温度変化
摩擦・圧力
化学薬品・オイル
湿気・水分
■ゴムの劣化を見分けるポイント
見た目・質感の変化
触って確認する方法
■ゴムの劣化を防ぐための対策
保管方法
定期的なメンテナンス
保護剤・コーティング
使用環境の改善
■ゴムの劣化が進んだ際の対処法
交換のタイミング
代替素材の選択
■結論:ゴム製品の劣化を予防し、長く使うために

ゴムの劣化に対する原因と対策
ゴムは置かれる環境や使用状況によっては劣化が促進されてしまうことがあり、特に以下のような要因が大きく影響します。
紫外線(UV)・オゾン
〈原因〉
ゴムの主鎖構造に二重結合が無いEPDMやシリコーン等は紫外線やオゾンに強く、耐候性が高いと言われています。
また主鎖構造に二重結合を有するゴムであっても、専用の薬品を添加することにより、耐候性の向上が見込まれる場合があります。
温度変化
〈原因〉
〈対策〉
摩擦・圧力
〈原因〉
〈対策〉
摩擦には天然ゴムやスチレンブタジエンゴム、ウレタンゴムのように耐摩耗性に優れたゴム材質を使用することが効果的です。また圧力に関してはゴム材質やゴム硬度により耐圧範囲が異なります。ある程度であれば、どのゴム素材も配合資材を調整することにより、機械的物性を引き上げることが可能で、結果として耐圧性が向上します。
化学薬品・オイル
〈原因〉
ゴムに化学薬品やオイルが接触することで膨潤や、溶解してしまうことがあります。例えば、鉱物油やガソリンなどがゴムに付着し、ゴム内に侵入することによる軟化や、逆にゴム内の必要物質が排出されてしまい硬化を引き起こした結果、ゴムに想定した当初以上の応力や変位が加えられ、破損してしまう場合があります。
〈対策〉
各化学薬品やオイルに対し、それぞれ耐性の高いゴム素材がございますので使用環境内に存在する化学物質やオイルを見極め、ゴム素材の選定を実施してください。
以下弊社ホームページに各ゴム材質の耐油・耐薬品特性を表記していますので、併せてご覧ください。
湿気・水分
〈原因〉
〈対策〉
ゴムの劣化を見分けるポイント
ゴムが劣化すると、使用している製品の寿命を縮めてしまうことがあるため、劣化を早期に見分けることが非常に重要です。
見た目・質感の変化
劣化したゴムは、ひび割れ、色褪せ、硬化、柔軟性の喪失や、ベタつきの発生などの見た目や触感の変化を伴うことがあります。日常的にゴム製品の状態を確認し、劣化の兆候を早期に発見することで大きなトラブルになる前に対策をすることができます。但し、ゴムが白くなり粉を吹いた様な状態になるブルームという現象が起こることがありますが、その現象はゴム内の不要な物の析出や、ゴム内の劣化防止剤が析出している事が原因で起こっていますので、すべての見た目の変化が悪影響を及ぼすとは言い切れません。異常があり判断がつかない場合は、製造先や、専門家の意見を聞いてください。
触って確認する方法
ゴムの劣化を防ぐための対策
保管方法
ゴムは動物や植物と同じく、炭素が結合しあった構造の高分子体です。そのため基本的には生モノと同様に「直射日光を避ける」「乾燥した場所」「低温」等、冷蔵庫と同じような環境で保管するのが理想的です。また、保管時には通気性の良い箱や袋に入れておくことにより更に劣化を防止できます。
定期的なメンテナンス
保護剤・コーティング
ゴム専用の保護剤やコーティング剤を使用することで、紫外線や湿気からの影響を軽減できます。特に屋外で使用するゴム製品には、保護剤を定期的に塗布することが効果的です。これによりゴムの表面に保護膜を作り、紫外線や酸素との接触を防ぐことができます。保護剤の使用はゴムの柔軟性を維持し、ひび割れや硬化を防止するためにも有効です。但し先に既述したようにゴム素材により、合う保護剤・合わない保護剤がありますので保護剤の説明書に従って適切に塗布し、定期的にケアを行うことが推奨されます。

使用環境の改善
ゴムの劣化が進んだ際の対処法
劣化が進んだゴム製品をどう対処するかについて紹介します。
交換のタイミング
ゴム製品は劣化の兆候が顕著になったら交換するのが望ましいです。例えば、「ひび割れが多く見られる場合」や、「弾力がなくなり柔軟性が失われた場合」、「ゴムが組み付いている付近から異音がする場合」などは製品の安全性を確保するために交換を検討すべきです。特にタイヤや大型機械に使われるゴムなど、安全性に直結するものや、替えが効かないものは、ゴムが組み付いている製品が壊れると、被害が大きくなってしまうので、定期点検、定期交換が重要です。使用頻度や使用環境を考慮し、劣化のサインが見られたら早めに対応することが推奨されます。
代替素材の選択
劣化が早いゴムは、使用しているゴムが適正でない可能性があります。例えば、屋外環境で耐候性の良くないNBRの使用や、高温環境になるにも関わらずウレタンゴムや天然ゴムの使用です。高温環境+摩擦環境などの複合環境で仕方なくどちらかの耐性が高いゴム材質を選んでいる可能性もありますが、この場合①どちらも耐性がある材質がないか、またどちらかしか耐性がない場合②片方の耐性があるゴムへ薬品を添加することにより耐性の向上が見込めないか等を検討します。コストUPが見込まれる場合でも、耐久性の高いゴムへ変更する事により、交換頻度が減る事や、機械の故障リスクを低減できること、安全性を高められること等、多くのメリットがあり、トータルで見た際にはコストUP以上の硬化が得られることもあります。
まとめ
正しいゴム素材を選定する事により、ゴム製品の劣化を大きく遅らせることができます。但しどのようなゴムも必ず劣化をしてきますので、更に長く使用するためには可能な範囲で過酷な条件下に置かれないことが望ましいです。また定期的な点検を行い、ゴムが大きく劣化する前に小さな異常を早期発見し対処することにより、周辺機器の寿命を延ばすことができます。