イソプレンゴム(IR) とは?
~特性と使用用途について~
天然ゴム(NR)はゴムの木の樹液からできていますが、石油からできている天然ゴムに最も近い特性を有する合成ゴムがイソプレンゴム(IR)になります。天然ゴム中に含まれる不純物のタンパク質がアレルギー性接触皮膚炎(ラテックスアレルギー)を発症させるケースがありますが、それを含まないため健康被害が生じ難くなっています。
イソプレンの構造
イソプレンゴム(IR)の特徴
※一般的な配合のデータであり、配合によっては異なったデータとなる
品質が安定している
無色透明に近いため明色ゴムが作れる
耐熱性、耐オゾン性、耐油性が劣る
・長所
ゴムの木が原料となる天然ゴムは産地、農園、採取時期により品質がばらつきますが、合成ゴムで高純度のイソプレンゴムは品質が安定しています。天然ゴムは茶褐色をしており、色のばらつきも多いですが、イソプレンゴムは無色透明に近いため明色のゴム製品を作ることができます。
・短所
天然ゴム同様に耐熱性、耐オゾン性、耐油性などが劣ります。天然ゴムよりもシス含量が低い、非ゴム成分(タンパク質や脂肪酸類)が含まれないなどの要因から、加硫速度が遅く、グリーンストレングス(=未加硫ゴムの引張強度)および加硫ゴムの引張強度が劣ります。天然ゴムよりも材料コストが高くなっています。
イソプレンゴム(IR)の主な用途
天然ゴムと特性が類似しているため、天然ゴムと同じ用途で使用できます。天然ゴムよりも優れる用途としては医療分野(手袋、エプロン、聴診器、ドレーン類など)があります。
使用される分野 | 製品名 | ||
医療用品 | 手袋、エプロン、聴診器、ドレーン類 |
参照:
・深堀隆彦(2000)「イソプレンゴム」奥寺通夫・粷谷信三・西敏夫・山口幸一『ゴムの事典』pp.146-147 朝倉書店