クロロプレンゴム(CR)とは?
~特性と使用用途について~
2.クロロプレンゴム(CR)の特徴

※一般的な配合のデータであり、配合によっては異なったデータとなる

様々な特性のバランスが良い

加工性が良く扱いやすい
・長所
・CRは主鎖に二重結合を含むので、機械的強度が強い傾向があります。
・通常主鎖に二重結合があると、反応性が高く、飽和結合のみで合成されるゴムと比較すると耐熱性・耐候性が悪くなる傾向がありますが、CRの場合は側鎖にあるクロロ基(-Cl)の電子求引性が高く、二重結合の電子密度が下がる事により、主鎖に二重結合を含むゴムの中では比較的耐熱性・耐候性が良い傾向があります。
・クロロ基ごとの双極子相互作用により、分子同士が強く引き合う為、ガソリンや、鉱物油などの非極性油との親和性が低い事から、非極性油に対しては耐油性があります。
・燃焼時には含有するClが燃焼しにくいこと、Clにより連鎖的な反応が起きにくい事、発生するHClガスが不燃性である事から、難燃性を持ちます。
・短所
・クロロ基ごとの双極子相互作用により分子どうしの運動が活性化しにくいので、低温性が悪い傾向があります。
・バランスの良い特性を持っていますが、あえて言うのであれば、飛びぬけた長所が無い事が、短所となります。
・加硫時に微量のHClガスを発生してしまう為、金型が腐食しやすい材料で、金型設計やメンテナンスに注意が必要です。
クロロプレンゴム(CR)の主な物性値
| 硬さ( デュロA ) | 40 | 50 | 60 |
| 引張強さ( MPa ) | 12.0 | 15.5 | 18.0 |
| 伸び( % ) | 850 | 550 | 350 |
| 使用温度( ℃ ) | -30~ 120 | ||
| 体積抵抗( Ω・cm, 25℃ ) | 1010~ 1012 | ||
※上記特性データについては参考値であり保証値ではありません
3.重合方法によるポリマーの特徴
CRポリマーは、原料となるクロロプレンモノマーと分子量調整剤を加熱 又は 冷却し重合されます。
重合時の温度と使用する分子量調整剤により、ポリマーの特徴が変わります。
●重合温度による違い
CRポリマーは(C4H5HCl)で構成されますが、トランス1,4結合以外に3つの異性体が存在します。




CRポリマーの大半はトランス1,4結合で、重合温度により1,4トランス結合の割合が変わり、それに伴い材料特性も変化します。
| 重合温度 | 1,4-トランス結合 | 物性の変化 | ||||
| 結晶化速度 | 機械的強度 | 接着性 | 耐寒性 | 耐老化性 | ||
| 40℃ | 92.0% | ![]() |
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| 10℃ | 93.2% | |||||
| -20℃ | 95.8% | |||||
| -40℃ | 96.6% | |||||
●分子量調整剤による違いとポリマーグレード
重合時に使用される、分子量調整剤は①メルカプタン変性タイプ、②キサントゲン変性タイプ、③硫黄変性タイプがあります。
また、①メルカプタン変性タイプを使用したポリマーをWタイプ、③硫黄変性タイプを使用したポリマーをGタイプと呼ばれる事もあります。
①メルカプタン変性タイプ
CRの標準的なタイプで、バランスの良い物性を示します。
②キサントゲン変性タイプ
分子鎖の末端の反応性が高く、高分子量化や網目構造が発達しやすいです。
そのため、機械的強度と防振特性に優れ、配合設計において高充填が可能です。
③硫黄変性タイプ
ポリマー中に結合エネルギーの低い硫黄結合をもつため、以下の特徴があります。
・素練りによる粘度低下が大きい。
・金属酸化物のみで容易に加硫できる。
・機械的強度に優れる。
・耐熱性に劣る。
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メルカプタン
変性タイプ
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キサントゲン
変性タイプ
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硫黄変性タイプ
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|
引張強さ
|
○
|
◎
|
◎
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||||
|
防振特性
|
○
|
◎
|
△
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|
耐久疲労性
|
○
|
◎
|
◎
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||||
|
耐熱性
|
◎
|
◎
|
△
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|
圧縮永久ひずみ
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○
|
○
|
△
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||||
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素練り加工性
|
○
|
○
|
◎
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4.名前について
5.クロロプレンゴム(CR)の主な用途
CRはある程度の機械的強度と種々の耐性を持つことから、様々な分野で使用されています。また、結晶性を高めたグレードの接着剤としての用途もCRの特徴です。
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メルカプタン
変性タイプ
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キサントゲン
変性タイプ
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硫黄変性タイプ
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主な用途
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工業用品
電線、ケーブル
ガスケット、シール
接着剤、浸漬製品
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自動車用ブーツ
ホース、防振ゴム
接着剤、浸漬製品
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伝動ベルト
ウェットスーツ
スポンジ、空気バネ
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参照:
・亀澤光博(2000)「クロロプレンゴム」奥寺通夫・粷谷信三・西敏夫・山口幸一『ゴムの事典』pp.148-150 朝倉書店
・萩原省吾(2016)「ゴムの工業的合成法 第14回 クロロプレンゴム」『日本ゴム協会誌』第89巻 第11号 pp.330-335 日本ゴム協会









