製品設計
ゴムの流動解析の手法
~流動解析を行うことでわかること~
流動解析とは
流動解析といえば、樹脂の射出成形解析が一般的です。
Autodesk社の『Moldflow』、CoreTech System社の『Moldex3D』、また東レエンジニアリングDソリューションズ社の『3D TIMON』などが有名です。金型内部に射出された樹脂の流れ、ウェルド位置、繊維配向、反り変形などをシミュレーションします。
射出成形解析以外にもさまざな特殊成形解析に対応しており、金型製作前に、成形不良を事前予測し、出戻り回数を削減したり、金型製作後の成形不良の原因調査・対策に活用されます。
ゴムの流動解析とは
樹脂の流動解析と同様に、ゴムの射出成形工程をシミュレーションすることができます。
金型内部のゴム流動の可視化はもちろん、金型熱温度分布履歴の可視化、製品の加硫度分布予測などが可能です。
弊社では、Sigma Engineering社(ドイツ)の流動解析ソフト「SIGMASOFT」を導入しています。
「SIGMASOFT(ゴム・エラストマーモジュール)」は、射出成形だけではなく、注入成形、圧縮(直圧)成形のシミュレーション機能も備えており、ゴム成形の幅広いシーンに活用できます。
主な解析機能:充填解析、加硫度分布解析、保圧解析、金型熱分布解析、脱型後解析、変形解析、連続成形解析
解析に必要な情報
3次元CADモデル(製品、金型等)、成形条件(充填時間、加硫時間、材料温度、金型温度、ヒーター等設定)、材料データ(加硫曲線、粘度曲線、熱伝導率、比重、熱容量、機械的特性等)などが必要となります。
解析事例
アウトプットイメージを動画にて紹介します。
Ⅰ.充填解析例(射出成形)
- ブッシュ成形時の材料の流れ
マテリアルトレース機能:各射出ゲートから異なる色で射出し、各ゲート間の材料融合部を明確化
Ⅱ.加硫度分布解析例
- ブッシュの加硫度履歴
熱履歴による加硫状況を確認
Ⅲ.金型熱分布解析例
- 金型昇温時の熱履歴
ヒーターで加熱した金型の温度状況を評価
Ⅳ.圧縮成形解析例
- Oリング成形時の材料の流れ
未加硫ゴムをセット、圧縮させた場合の材料の流れを確認
解析方法
基本的には、一般的なCAE解析と同様なシミュレーションプロセスにて解析が可能です。
Oリングの解析を例にして、具体的な解析方法、計算結果について紹介します。
①製品形状、金型形状をデータ化します。(図1)
②形状データをメッシュ化させます。(図2)
③成形条件(材料、充填時間、加硫時間、金型温度 等)を入力します。
④上記のような手順で情報を入力し、計算させます。
計算結果
充填結果(図3)
温度分布結果(図4)
加硫度分布結果(図5)
解析を行うメリット
成形工程における不具合要因の予測・対策をコンピューター上で行うことで、 実機でのトライアンドエラー回数の削減が見込めます。