加硫ゴムは外力を加えられると変形し、外力が除かれると元の形に戻ります。一方で未加硫ゴム材料(生ゴム)は外力を加えられると変形をし、外力が除かれても変形を保ちます。

ゴムらしさを生み出すためには未加硫ゴム材料を加硫する必要があります。

未加硫ゴム材料に硫黄やその他の加硫剤を配合して加熱する事で分子同士をつなぎ合わせ、力による変形で流れていかないようにすることを加硫といいます。

加硫試験は未加硫ゴム材料が加硫していくときのトルクの変化を時間ごとに連続記録することで加硫剤や加硫促進剤の種類や量などの配合の最適化や、加硫温度や加硫時間など加硫条件の最適化のために行います。

加硫のイメージ図

架橋と加硫は現象としては同じであり、言葉としては同義語になります。

架橋および加硫はポリマー(高分子)鎖同士を化学反応によってつなげる事を指します。

ゴムが加硫ゴムと呼ばれる理由は、昔ゴムについて研究されていた時、硫黄を加えることで ポリマー同士が化学反応を起こし架橋する現象を偶然発見したことにより、ゴム業界では通年的に加硫ゴムと呼ばれるようになりました。

そのため、硫黄加硫以外の反応方法でも加硫と呼ばれ(例:過酸化物加硫)、架橋をさせるために用いる資材は広く 加硫剤と呼ばれます。


加硫のために用いられる化学物質を加硫剤といいます。

加硫剤には様々な種類があり、加硫したい材料(ゴム材料)によって相性が異なるため、使い分けが必要です。

 加硫の種類の例として硫黄加硫や有機過酸化物(パーオキサイド)加硫が挙げられます。以下にゴム種別の加硫方法の可否についてまとめました。

  ゴムの種類

 

加硫方法

天然ゴム
NR
ブタジエンゴム
BR
スチレンブタジエンゴム
SBR
ニトリルゴム
NBR
エチレンプロピレンジエンゴム
EPDM
エチレンプロピレンゴム
EPM
ブチルゴム
IIR
クロロプレンゴム
CR
クロロスルホン化ポリエチレンゴム
CSM
塩素化ポリエチレンゴム
CM
エピクロルヒドリンゴム
ECO
アクリルゴム
ACM
シリコーンゴム
Q
フッ素ゴム
FKM
硫黄 × × × × × × ×
有機過酸化物 ×
キノイド × × × × × × ×
樹脂 × × × × × × ×
アミン × × × × × × × ×
金属酸化物 × × × × × × × × × × × ×
トリアジンチオール × × × × × × × × ×
ポリオール × × × × × × × × × × × × ×

 


加硫度試験はJIS K 6300-2に規定されています。

加硫度の測定には一般的に加硫度試験機が用いられています。加硫度試験機は未加硫ゴム試験片を密閉チャンバーに圧入し、加熱しながら左右のねじりによって繰り返し剪断力を与えた時のトルクの経時変化を記録する装置です。

トルクの経時変化のグラフのことを加硫曲線といいます。


加硫度試験機の加硫曲線を例に示します。

トルクの最大値をMH、最小値をML、ME=MH-MLとしたとき、トルクの値がML+10%ME、ML+50%ME、ML+90%MEとなる時間をそれぞれtc(10)、 tc(50)、 tc(90)ときめています。

これらの時間は加硫反応において重要な時間であり、tc(10)を誘導時間(加硫開始点)、tc(50)を50%加硫時間(加硫反応の中間点)、tc(90)を90%加硫時間(最適加硫点)といいます。

加硫曲線

参照:

JIS K 6300-2

新版ゴム技術のABC 社団法人日本ゴム協会東海支部

ゴムのおはなし 日本規格協会

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