ゴムは応力やひずみの負荷を受けた場合に、時間の経過とともに機能が低下します。この現象が「疲労」であり、応力(ひずみ)を繰り返し受けゴムが破壊することを「疲労破壊」と呼びます。

引張試験で破壊する強度よりもはるかに小さい力でも、繰り返しの負荷により疲労破壊を生じます。

疲労

『材料に時間的に変化する応力が作用する時の強度が低下する現象。繰り返し刺激により材料の機械的性質が変化する現象』をいいます。 

老化

『材料のおかれる環境(熱、日光、雨雷・オゾンなど)により、時間の経過に伴って外観、物理的・化学的性質が劣化し、性能が低下する現象』をいいます。

どちらも疲労試験、老化試験としてゴムなど高分子材料の耐久性を調べる為に行われます。

Ⅰ)試験片を用いた疲労試験

①フレクソ試験(JISK6265)

試料を圧縮(圧縮成分が多い)させて評価。試料の発熱やへたりを見る目的で行われる圧縮疲労試験。

②屈曲亀裂試験(JISK6260)

試料を屈曲(引張成分が多い)させる。応力集中に対しての局所的な抵抗度合いを評価する。

③引張疲労試験(JISK6270)
ダンベル状の試験片に、繰り返し引張変形を与え疲労寿命を求める。

屈曲亀裂試験機

Ⅱ)製品を用いた疲労試験

  • 試験片では製品の疲労性との相関がとりにくい事もある為、実際に製品に加わる想定+α以上に条件を設定した疲労試験も行われる。
  • 各社その製品に合わせた疲労試験を行っている例が多い。
  • 試験機としては疲労試験機が用いられる。
  • 疲労試験機は試料に引張及び圧縮方向に指定の荷重&撓みの繰り返し負荷を与える事ができる。
  • ゴムの疲労性は雰囲気温度に大きく影響を受けるため、恒温槽内での疲労試験も行われる。
疲労試験機2

屈曲亀裂試験(JISK6260)は右図のように中央部のくぼみを持つ試験片に切り込みを入れて屈曲試験をします。

ある回数ごとに試験を止めて亀裂の成長を調べます。亀裂は徐々に大きくなり、ついには破断にいたります。

定伸長疲労試験が全体としての材質の構造変化の度合いを見るのに対して、屈曲き裂試験は応力集中に対しての局所的な抵抗度合いを評価しているといえます。

屈曲亀裂試験

ダンベル状試験片をつかみ具に取り付けて試験装置を動かし、各試験ひずみにて破断するまでの繰り返し回数を測定します。

実際の試験は、一定振幅で引張変形を与えているために繰り返し変形によって発生する残留ひずみや塑性流動の影響で試験片が実際に受けるひずみは次第に低下します。そのため、厳密には定ひずみの引張試験とはならず、粘性挙動の大きいゴムや残留ひずみの大きいゴムには適しません。

引張疲労試験結果-1

引張疲労試験 

EPDM50°硫黄加硫 

ダンベル状試験片3号 厚さ2mm 

常温 5Hz n=3中央値


参照:

JISK6260-2017 加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-耐屈曲亀裂性及び耐屈曲亀裂成長性の求め方(デマチャ式)
JISK6265-2018 加硫ゴム及び熱可塑性ゴムーフレクソメータによる発熱及び耐疲労性の求め
JISK6270-2018 加硫ゴム及び熱可塑性ゴムー引張疲労特性の求め方
ゴム技術入門 (日本ゴム協会)

\ゴムの100年企業がお答えします/

ゴムに関するお困りごと大歓迎です!  お問い合わせ・ご相談