製品設計

ゴムの構造解析の手法

~構造解析を行うことでわかること~

力や変位による形状の変形、応力の状態を計算により出力します。

構造解析ソフトによる計算方法としては、材料の力学特性をベースとし、単純形状のメッシュ(要素の集合体)として形状を表現(近似)する有限要素法がよく用いられています。

手計算では求めることが困難な複雑形状に起こり得る現象を予測することが出来ます。


ゴム材料物性(弾性体)は曲線的で非線形となっています(図1)。線形の構造解析では表現しきれない部分がある為、非線形に対応したソフトにて構造解析を行う方が好ましいです。

図1 非線形・線形材料物性イメージ
図1 非線形・線形材料物性イメージ

製品形状、周辺部品形状、表現する挙動情報、物性データなどが必要となります。 

Oリング軸シールの組付け解析を例にして、具体的に解析方法、計算結果について紹介します。

この時の求めたい解析結果は、圧縮による変形量と接触部のにかかる面圧になります。面圧とは変形時の接触面にかかる圧力のことをいい、シール力の指標となります。

解析方法

次の手順で情報を入力し、計算させます。

  1. 製品形状、周辺部品形状をモデル化します(図2)。
  2. 変形体とみなす形状データについては、メッシュ化(要素の集合体化)させます(図3)。
  3. 表現する挙動情報を数値として入力します。
       軸  上方向へ1mm変位
       外筒    横方向へ5mm変位
  4. 物性データを材料モデル式を使用し表現します。Mooney-Rivlin ,Ogden式等があります(図4)。
図2
図2
図3
図3
図4
図4

    計算結果

図5-1 製品組付け時の荷重特性
図5-1 製品組付け時の荷重特性
図5-2
図5-2 変形状態
図5-3
図5-3 面圧分布

設計構想の確からしさ、問題対策の効果推測などをコンピュータ上で行うことで、実機でのトライアンドエラー回数の削減が見込めます。

また製品使用時の変形、応力、歪、面圧などを視覚的に表現出来ますので、資料などに活用すると、より相手に伝わり易いです。

計算するモデルの規模と合わせて変形の大きさが問題となります。

ゴムの構造解析は大変形を伴う場合が多く、金属、樹脂の構造解析と比較して計算時間が長い、計算が止まるなどの問題が起きやすいです。検討内容を見極め、簡易化が必要なケースもあります。

トライアンドエラーの回数は削減であって0ではありません。相対比較を行い、案を絞り込むことは可能ですが、形状、物性共に近似であること、入力した情報のみでの計算結果であること、簡易化等々、絶対値として考えるにはリスクがあります。そのため、最終的には試作評価が必要になります。

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