水素化ニトリルゴム(H-NBR) とは?
~特性と使用用途について~
NBRのブタジエンに含まれる二重結合を水素化することによってH-NBRが製造されます。
H-NBRはNBRの特徴である耐油性を維持しながら、耐熱性、耐候性の向上を目的として開発されたゴムです。
耐油性を維持するためにシアノ基をそのまま残し、主鎖中の二重結合のみを水素化させます。加硫には、NBRと同様に硫黄または有機過酸化物が用いられます。しかし、水素化95 %を超えると二重結合が少ないため、硫黄加硫が難しく、有機過酸化物加硫となります。
H-NBRのポリマー
H-NBRの構造
水素化ニトリルゴム(H-NBR)の特徴
※一般的な配合のデータであり、配合によっては異なったデータとなる
優れた耐油性、耐燃料油性
ANと水素化率の変量で様々な用途対応可
NBRに比べてコストが高い
・長所
水素化することで二重結合が少なくなり、耐熱性、耐候性、耐摩耗性が良好です。耐油性はNBRと同じくらいです。延伸結晶性のため機械的強度が高いです。
・短所
NBRと比べて耐寒性が劣ります。また、NBRよりもコストが高いですが、フッ素ゴムに比べると安いです。
水素化ニトリルゴムの主な物性値
硬さ( デュロA ) | 30 ~ 100 |
引張強さ( MPa ) | 5.0 ~ 35.0 |
伸び( % ) | 200~ 800 |
使用温度( ℃ ) | -20~ 160 |
体積抵抗( Ω・cm, 25℃ ) | 109~ 1013 |
※上記特性データについては参考値であり保証値ではありません
水素化ニトリルゴムの主な用途
NBRより耐熱性、耐油性、耐圧性の要求される部品、また、化学的安定性があるので特殊シールや高圧ホースに使用されています。
求められる用途によって、アクリロニトリル量と水素化率を変えることができます。
使用される分野 | 製品 |
自動車部品 | ホース、オイルシール、ダイヤフラム |
工業用品 | Oリング、ガスケット、工業用ロール、ベルト |
参照:
・新版ゴム技術のABC 編集・発行:日本ゴム協会東海支部