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皆さんもよく知っている輪ゴムですが、室温で使用する場合は伸縮し、袋の口を縛ったり、束ねたりすることができますが、極低温になると凍えたように硬くなることを知っていましたか?
また輪ゴム以外のゴムも、同様に極低温になってしまうとカチカチに硬くなってしまいます。
今回のコラムでは、「ゴムがなぜ凍えたように硬くなってしまうのか」を、データを交えて解説します!

 

1. 低温になるとゴムが硬くなる理由

そもそも普段使用しているゴムってなぜ柔らかいのか?という説明になりますが、
以前耐熱性を説明したコラムで、多くのゴムは主鎖が炭素結合(-C-C-)していると話しました。
見られていない方は是非こちらをご覧ください!(ゴムの耐熱温度)
高校の化学の授業などで、原子同士が手を繋いでいると表現されることがありますが、ゴムの主鎖は多くの炭素原子が一列に手を繋いでいる状態で表されます。

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 高校ではこの程度しか勉強しないですが、実はゴムの様な柔らかい高分子体は、その-C-C-の繋がりの間で回転したり、振動するなどして分子鎖自体は動いているように見えないレベルで、各原子の接合部はランダムに動いています。
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この分子の運動を「ミクロブラウン運動」と言い、この分子運動があるおかげで、ゴムは軟らかさを有することができます。
ミクロブラウン運動は、主鎖の構造、主鎖から枝分かれする側鎖の構造や、ゴムの配合資材などの材料要因と、ゴムが置かれている環境により運動の量や、動き方が変わります。
特に環境面では雰囲気温度の影響で、ミクロブラウン運動量に変化が見られ、「ゴムの温度が高くなれば、この動きが活発になる=ゴムが柔らかくなる」や、「温度が下がるとこの動きが小さくなる=ゴムが硬くなる」の影響が出ます。
また一定温度以下になるとゴムの柔軟性に必要な、ミクロブラウン運動はほぼ停止状態(完全に止まるわけではない)になり、ゴムの柔軟性が無くなってしまいます。この温度を「ガラス転移点(Tg)」と言い、この温度を下回るとガラスのように硬く、脆くなってしまいます。

余談ですが、ゴムの低温特性の指標を測定する試験として
「低温衝撃脆化(ぜいか)試験」(JIS K 6261)、通称「脆化試験」があります。
この試験では、ゴムの温度を徐々に下げていき、各温度でハンマーによる一定の衝撃を与えます。
そして、ゴムが割れるかどうかを確認し、割れが発生した温度(℃)を評価します。
低温になるとミクロブラウン運動が低下し、ゴムは硬くなって柔軟性を失います。この性質を利用したのが、低温衝撃脆化試験です。

 

次の表は、天然ゴム40HSについて、DMA(動的粘弾性測定)により貯蔵弾性率を測定した結果です。
この結果から、温度変化によってゴムの弾性がどのように変化するかを確認できます。

DMAとは、ゴムに対して繰り返し伸縮、または圧縮を与えた際に、インプットした変位に対してアウトプットされる応力を測定する試験です。
この応力から貯蔵弾性率を求めるとともに、応力と変位の時間差を測定することで、損失係数を算出し、損失弾性率を確認することができます。また、測定温度を変化させることで、貯蔵弾性率、損失弾性率、損失係数の温度依存性を評価することも可能です。 

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縦軸は貯蔵弾性率で、一定変位で伸縮させた際の応力で、この数値が高いほど硬く、低いほど柔らかいゴムになります。
横軸は貯蔵弾性率を測定した際の温度で、この結果から低温時は硬く、温度が高くなると柔らかくなっているのが分かると思います。
もう少し詳しく見ると、-80℃~-70℃付近は、硬さが最大で硬さに変化がないことから、ガラス転移点以下で、ゴムに柔軟性が無い状態になります。
-70℃~-10℃付近までは、温度が上がるにつれて貯蔵弾性率が小さくなっていることから、ゴムが柔らかくなっていることがわかります。
それより高い温度では、貯蔵弾性率に大きな変化が見られていないため、硬さの変化はあまり起こりません。
今回はDMAの結果をもとに、ゴムの温度変化に対する弾性変化を説明させていただきましたが、先に挙げた低温衝撃脆化試験など、他にも低温性の評価指標は他にもあり、様々な評価方法があります。
よろしければ他の評価方法も「ゴム屋さんのひとりごと」のサイト内に紹介がございますので、ご確認ください。 
(ゴムの低温試験とは)

今回は天然ゴムの低温性について結果を挙げさせていただきましたが、ゴム種により低温性に差があることはもちろん、同じゴム種でも各モノマーの重合量により低温性に差がでます。

次回コラムでは、少し難しい話になってしまいますが、メカニズムも含めてポリマーの構造により、どのように低温性の良し悪しが決まるのか、できるだけ分かりやすく解説させていただきます。
最後まで読んでいただいたら、あなたもどのようなゴムの低温性が良いか、分子構造をみたらわかるようになるはずです!

また、今回のコラムで出てきたDMAや、その他評価方法について解説して欲しいなど、ご要望がございましたらDMへの返信や、「ゴム屋さんのひとりごと」サイト内にある「お問合せ」からご連絡下さい。

多くご要望いただいた内容についてはコラム等を通じて解説させていただきます。
それ以外にも、ゴムについてお困りごとがございましたら、ゴムのスペシャリストが対応致しますので、先ずはゴムノイナキへご連絡下さい!!

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