ゼリーコピー

 

1. 概要

ゴムはどういう性質があるか?と言われると、「潰したら戻る」、「引っ張ったら戻る」、「軟らかい」、「変形する」等、様々な性質を思い浮かぶと思います。

その性質を利用して、さまざまな製品に使用されていますが、本コラムでは「なぜそのような性質が発生するのか?」を紹介し、その性質から「どの様な製品に使用されているか」を説明します!

 

2.ゴムは粘弾性体!

〇粘性と弾性とは?

ゴムはよく粘弾性体と言われています。粘弾性体とは、「粘性」と「弾性」をあわせ持つものを言います。

「粘性体」の代表例としては「水」や「油」の様に流動性があり、「変形したら変形しっぱなしになり、変形させるのに荷重は発生するが、変形を止めたら押し返すような荷重が発生しない」性質を持ちます。
また「弾性体」の代表例は「金属バネ」の様なものが挙げられ、「変形させたら元に戻ろうとする反力を発生し、変形させる荷重を解くと元の形状に戻る」性質を持つものをいいます。

※粘性体、弾性体の詳しい話をすると超長文になってしまいますので割愛させて頂きます。

それらの性質を合わせ持ったゴムは、粘性体のように荷重が掛る部位に馴染み、弾性体のように反力を発生する、不思議な性質を持ちます。

粘弾性の説明表_アートボード 1

〇ゴムはなぜ粘弾性を有するのか?

ゴムの主原料であるゴムポリマーは、ネリケシの様に変形させたら変形しっぱなしになる事から、粘性の高い物質と言えます。
よってゴムは主原料であるゴムポリマーの性質により粘性を有します。

ゴムの弾性はどこから来ているのかというと、それは「加硫」を行うことで得られます。現在ではさまざまな手法がありますが、初めてゴムを作ったグッドイヤーさんは、(たまたま)ゴムポリマーに硫黄を加えて加熱したことで、弾性を有する「ゴム」を製造することに成功しました。

この加硫とは、簡単に言ってしまうとゴムポリマーに形状記憶能力を与える工程です。形状記憶が付与されることで、変形すると元の形状に戻ることができ、また変形を与え続けると反発する力を発生し続けられるようになります。これが金属バネと同じようにゴムが弾性を持つ理由になります。

〈まとめ〉
ゴムの粘性は主成分のポリマーから得られ、弾性は加硫をする事により得られます。
ゴムはそれらが混ざり合う事で粘性と弾性を共有できています。

 

3.粘弾性を利用した製品

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ゴムは圧力を掛けた場所に液体のように馴染み、バネのように反力を発生します。
その性質を利用して、密封や密閉用のシールに適しています。完全な平面であれば金属などでもシールすることはできますが、ゴムはシールしたい面に馴染むため、多少の凹凸があっても安定してシールすることができます。

製品群:O-ring、ガスケットなどのシール製品

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ローラーやタイヤなどに使用されているゴムは、圧力を掛けた場所が相手の形状に馴染むことで、接触面積が増えて摩擦が大きくなり、さらに相手の凹凸に食い込むことでアンカー効果が生まれます。これらにより、タイヤやローラーの駆動力を効率的に「ものを運ぶ運動エネルギー」に変換できる特徴があります。

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粘性体は液体のように、受けた荷重を反力に変えない性質があります。ゴムは弾性を持つため反力は発生しますが、同時に粘性も持ち合わせているため、与えた荷重をすべて反力として返すのではなく、ある程度減衰させる効果があります。

防振ゴムについては、このほかのメカニズムも用いて設計していますので、詳しく知りたい方はこちらをご確認ください。

内部リンク:防振ゴムとはどんなもの?

まとめ

今回はゴムの粘弾性と、それを活かした製品についてご紹介しました。

粘性・弾性というあまり馴染みのない性質が、ゴムをユニークな材料にしています。
皆さまから「もっと粘弾性について知りたい」との声が多ければ、より詳しい内容をコラムでご紹介する予定です!

今回紹介した以外にも、粘弾性を利用した製品は多数あります。また、単純に「柔らかい」「引っ張ったら戻る」といった性質を活かした製品も多く存在します。

本コラムや過去のコラムを通して、新しいアイデアや製品化のヒントを思いついた方は、ぜひ弊社までお問い合わせください!

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