老化試験(熱老化試験)についてはJISK6257に規格されています。

試験片は主にダンベル形状に加硫ゴムを打ち抜いたものを用います。大気圧の下で規定時間及び規定温度に暴露した後、物理特性(引張強さ、引張応力、切断時伸び、硬さ)を測定し、それらの老化前の値に対する変化からゴムの耐熱性を求めます。老化前後での物性変化が小さい場合耐熱性は良好となります。

計算式は以下の通りになっています。

式1-2

AC:加熱前後の引張強さ,引張応力,切断時伸びの変化率(%)   

X0:加熱前の引張強さ,引張応力,切断時伸び X1:加熱後の引張強さ,引張応力,切断時伸び

式2-2

AR:加熱後の引張強さ,引張応力,切断時伸びの残留率(%)   

X0:加熱前の引張強さ,引張応力,切断時伸び     X1:加熱後の引張強さ,引張応力,切断時伸び

式3-1

AH:硬さの変化   

X0:加熱前の硬さ     X1:加熱後の硬さ

老化試験に使用されるオーブンには、いくつか種類があり以下のようになっています。(図.1,2参照)

試験方法 試験機 空気置換率(回/h) 平均風速(m/s)

A法

A-1法 強制循環形空気加熱老化試験機(縦風式) 3~10 0.5~1.5
A-2法 強制循環型空気加熱老化試験機(横風式) 3~10 0.5±0.1
A-3法 加圧酸素加熱老化試験機 - -

B法

B-1法 セル形空気加熱老化試験機 3~10 低風速
B-2法 自然換気形空気加熱老化試験機 3~10 低風速
B-3法 テストチューブ形空気加熱老化試験機 - 低風速
強制循環形空気加熱老化試験機(横風式)

図.1強制循環形空気加熱老化試験機(横風式)

テストチューブ形空気加熱老化試験機

図.2テストチューブ形空気加熱老化試験機

また、試験種類には大別して2種類ありAt法とHr法に分けられています。熱老化試験の温度が、実際に使われるゴムの温度より高いもしくは低いかによって分かれます。

At法

実際の使用条件下より高い温度で試験

Hr法

実際の使用条件下より低い温度で試験

試験温度

70±1℃、 85±1℃、 100±1℃、 125±2℃、 150±2℃、 175±2℃、 200±2℃、 225±2℃、 250±2℃、 275±2℃、 300±2℃より選択

試験時間

JISK6250より選択


一般的には、ゴム分子の主鎖に2重結合が無いもしくは少ないゴムは、熱や光による影響を受けにくい為、耐熱性が良好です。また、主鎖の結合エネルギーが高いゴムについても、耐熱性良好となります。

代表ゴムとしては、フッ素ゴム(FKM)、シリコーンゴム(VMQ)、アクリルゴム(ACM)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)が挙げられます。

一般的には、耐熱性の良いポリマー(上記4種など)を選択します。同一ゴム種という条件であるならば、次の2点などで改良することが出来ます。

  1. 架橋系を硫黄ではなく、パーオキサイド加硫にする
  2. 耐熱性の良い老化防止剤、軟化剤を使用する

参照:

JISK6257

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