AdobeStock_1183092727

前回のコラムでは、ゴムであっても、バネであっても弾性体であれば防振効果が得られるということをお伝えしました。※詳細はこちら
防振をするアイテムは多様である中でも、「防振ゴム」は広く使用されています。
今回のコラムでは何故ゴムが多く選ばれるのか、その特徴を踏まえて解説します!!
※本コラムは前回のコラムの知識がある前提で解説しますので、予めご了承ください。

 

1. 防振ゴムと防振バネの性能比較

下記表は防振ゴムと防振バネ(金属バネ)の防振特性を比較した表になります。

項目

防振ゴム

防振バネ

減衰性能 (共振時の振幅)

二次、三次方向への防振

低周波数への対応

温度の影響

大きい

小さい

温度以外の周辺環境の影響

対応可能

小さい

設置スペース

比較的小さい

場合によっては大きくなる

コスト

比較的安価

高額になる場合あり

耐久性

経年劣化あり

比較的高寿命

 

防振ゴムが優れている特性として、「減衰性能があること」、「二次、三次方向への防振効果があること」、「設置スペース・コストに優位性があること」が挙げられますので、次の章から何故優れているかを解説します。

2. 防振ゴムが選ばれる理由

 2-1 ゴム特有の減衰性能

防振バネと比較して、防振ゴムは減衰性能が高い特徴があります。
防振を知っている方はtanδという言葉を聞いたことがあると思いますが、それが減衰性能表す数字で、損失係数と言う数値で表されます。

下のグラフはそれぞれ損失係数が「0.1」、「0.3」、「0.5」、「1.0」の防振ゴムの振動数比に対する振動伝達率を表したグラフになります。 

損失係数別 振動数比と振動伝達率の関係

損失係数が高いと増振領域での増振効果が小さくなる一方で、防振領域での防振効果も小さくなる性質があります。
この性質が有利に働くシチュエーションは、例えば振動数比が3で通常運転するモーターだとしても、電源をON/OFFする際に振動数比が減少し最終0になりますが、その過程で増振領域を一時的に通過してしまいます。
その際にどうしても振動数比1を通過してしまうため、一時的にであっても増振し、大きな振動を起こしてしまいます。
経験されている方も多いと思いますが、自動車のエンジンを切る際に、エンジンの止まり際が一番エンジンの揺れを感じているのでは無いでしょうか?
そのため、そういったシチュエーションでは、一時的な増振を極力抑える為に、減衰性能が大きい防振ゴムを使用し対策をします。

 

 2-2 二次・三次方向への防振効果

防振バネは、一次方向のバネ効果が大きく、大きな防振効果が得られることが多いですが、二次、三次方向などの、せん断やねじり方向へのバネ効果が小さいため、防振効果があまりありません。
そのため防振バネは、前後左右の振動や揺れに対し対策が必要なことがあります。
それに対し防振ゴムは、一次方向へのバネ効果はもちろん、二次、三次方向にもバネ効果があるため、防振バネと比較し、前後左右やねじり方向の振動や揺れに対してもある程度対応できます。

 

防振バネ 1次方向のみのバネ効果-1
防振ゴムは3次元方向にバネ効果がある

 

 2-3 設置スペース・コストの優位性

先の2つのメリットより、防振ゴムはそれ単体で効果を発揮することが多いですが、防振バネの場合は、振動数比1の際の増振低減や、左右前後の振動や揺れに対してダンパーを追加するなど対策が必要になる場合があります。
一次方向の振動で、永続的に振動するものであれば、それらの対策は不要ですが、そういったシチュエーションは少なく、それらの対応にある程度の対策が必要になるため、防振バネを用いた際は、それらを対策するためのスペースが必要であったり、コスト増に繋がります。

 

増振領域や2次3次方向の振動に対しダンパー追加などの対策が必要な場合あり
防振ゴムは特に追加設備などせずにそのまま使用できるシチュエーションが多い

 

3. 防振ゴムが苦手とする特性

ここまで防振バネに対し防振ゴムの優位性について話してきましたが、防振ゴムにも弱点はあります。
下記表にまとめましたのでご確認ください。

項目

注意する理由

低周波数への対応

低周波数の対応をするためには、バネ定数を小さくする必要があります。ゴムでも柔らかいゴムはありますが、防振ゴムとして使用するためには強度不足になる可能性があります。

温度の影響

ゴムは温度変化によりバネ定数の変化が大きいのもありますが、

材料によっては、80℃付近から劣化が始まったり、

低温時では-20℃以下から急激に硬くなってしまうので、使用する温度帯に注意が必要です。

温度以外の周辺環境の影響

金属バネでは気にならない油環境は、油の種類によっては、ゴムを大きく膨潤させてしまい、バネ定数を小さくしてしまいます。

またゴムの種類によっては、耐候性が高くない防振ゴムも存在する為、周辺環境により、ゴム種類の選定が必用です。

 

防振にゴムが選ばれる理由のまとめ

 防振装置の中で、防振ゴムはシンプルな形状を選択しやすいため、高コストになりにくく、高荷重、高温、悪環境などの極端な環境でなければ使用できることから、幅広く使用されています。また独特な減衰性能もゴムを使用される理由の一つに挙げられます。

防振ゴムが選ばれる理由を解説させていただきましたが、今回お話した内容以外にも防振に関するノウハウはたくさんあります。
ゴムノイナキでは最適な防振ゴムの紹介や、オリジナルの防振ゴムの形状・材料設計も可能です。
もし振動でお困りごとがございましたら、問題解決のお手伝いができるかもしれませんので、是非お問合せ下さい。

\ゴムの100年企業がお答えします/

ゴムに関するお困りごと大歓迎です!  お問い合わせ・ご相談